コインサイドに生きる

広島で心理士をしています。心理のこと、趣味のこと、その他色々気付いたことを書いていきます。

ギャンブル依存症2

日曜日いかがお過ごしでしょうか。私は日月が休みなので明日まで休みです。f:id:shira723:20151025154605j:image
優雅にチャイティーを飲みながら今日もギャンブル依存症の勉強です。

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☆セッション1:アセスメント
○ねらい:個々のクライエントに適したケース・フォーミュレーションと治療計画を作成するために、クライエントに関する十分な情報を得る
○理論的背景
・面接、生活歴の聴取、心理テストの実施⇦効果的な治療プログラムを計画し実行する上で、アセスメントと正確な診断は極めて重要
・アセスメントはクライエントとセラピストが互いにラポールを形成する機会となる
・セラピストはアセスメント結果を用いて、クライエントが自らの現状を別の視点から考えられるようにフィードバックできる⇨この先どのように治療が進んでいくのか、はっきり理解出来るようになる

☆アセスメントを実施
ラポール形成:セラピストがクライエントとの間に信頼関係を形成することであり、治療において必要不可欠なもの
○ケース・フォーミュレーション
・現在の問題:現在の非機能的な行動の性質⇦現在のギャンブル行動、ギャンブル歴、対人関係の問題、家庭の問題、経済面の問題、職業上の問題、法的な問題、身体的な健康問題、精神的健康・情緒的問題、自殺、住居に関する問題

・素因と先行要因:現在の非機能的な行動を生じさせているクライエントの脆弱要因⇦家族のギャンブル行動、ギャンブルを始めた当初の大勝ち、両親の物質依存歴や他のメンタルヘルス上の問題、虐待の有無、幼少期における両親の死、あるいはその他の原因による悲嘆、幼少期における学校や家族とのつながりの乏しさ、パーソナリティ、など

・憎悪要因:現在の非機能的な行動の獲得に関連する要因⇦ストレスフルな、またはトラウマとなるような出来事、ネガティヴな気分状態、刺激のなさ、金銭的な理由、ギャンブル行動へと誘う仲間や家族からの圧力、社会的交流を持つため、対人関係の問題、など

・遷延化要因:現在の非機能的な行動を維持させている要因⇦他者操作的な行動、ゆがんだ認知、精神的健康、身体的健康、法的な問題、空虚感や刺激希求、社会的交流、パーソナリティ、現在の経済状況、家族・対人関係の問題、重要な他者のレスキュー(例:問題ギャンブラーの借金を支払ってあげること)またはイネイブリング行動(例:問題ギャンブラーの責任を引き受けること)、職業上の問題

・予後要因:回復と治療効果に影響を与える要因⇦いくつかの個人的要因は、治療の効果や回復にプラス・マイナスの影響を与える
□プラス:根気強さなどのパーソナリティ特性、モチベーションや変化へのレディネス、治療への積極的な参加意欲など
□マイナス:ギャンブル問題が重症である、依存する問題がある、パーソナリティ特性(衝動性、新奇性希求傾向、神経症的傾向)

・その他:連絡先、年齢、性別、生活状況、職業、婚姻状況、学歴、といった基礎的な情報

○クライエントの治療目標と治療への期待をアセスメントする:セラピストがクライエントの治療目標と治療への期待をアセスメントするためには、以下のようや質問が役に立つ

・ギャンブル問題に対する治療をうけることについて、あなたはどう思っていますか
・あなたは治療から何を得たいと思っていますか
・最終的な目標を達成する前に、何をしなければならないと思いますか
・治療に成功すること、ギャンブル行動をやめ続けること、またはコントロールし続けることへの自信はどのくらいありますか
など……

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ここまで。パソコンではなくスマートフォンで打ってると疲れますね。次回からは、ケース・フォーミュレーションを行い、治療計画を作成するところからです。


精神科クリニックで働いているのですが、10月に入ってからカウンセリングの予約がとても増えましたね。やっぱり冬に近付いてきていることが関係しているんでしょうか。

近いうちに、カウンセリングとななんぞや、誰が受けていいのか、クリニックの選び方、みたいなところを書いてみようかな。

では。

ギャンブル依存症

こんばんは。しらと申します。初めてのブログのタイトルが何だか不穏ですが、お許しを。

某県で心理士をしております。いわゆるカウンセラーです。社会人になって二年目、臨床心理士の資格をとって一年目です。なのでまだ駆け出しのぺーぺーなわけで、日々が勉強勉強でして。

このブログは読んだ本や研修をまとめて自分用に勉強したり、普段の臨床の中で気付いたことを書いていきます。他の日常系のことも恐らく書きます。

さて、今回のタイトル回収ですが現在読んでいる本がこちら
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これの左を絶賛読書中。なんでギャンブル依存症の本を読み始めているかというと初めてギャンブル依存症の患者さんと関わる機会が出来たからです。

読んでるだけだと頭からすり抜けていくので、この場を借りて勉強していきます。何か皆さんの参考になれば。

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ギャンブル依存症のための認知行動療法ワークブック』

○問題ギャンブルの発展と維持に影響を及ぼす要因
・自分に価値があることを示す、他者からの賞賛、反抗、ネガティヴな感情からの解放、大当たりをつかむ、退屈さを紛らわす、などなど…

○家族的要因
・問題ギャンブラーは家族にギャンブルの問題を抱えている人が多い
・遺伝によって伝達されるというエビデンスも存在する

○個人的要因
・パーソナリティ:衝動性と刺激希求性
・衝動性:よく考えずに行動すること⇦今のところ問題ギャンブルと最も強く関連するパーソナリティ
・刺激希求性:ある特定の問題ギャンブラーに見られる要因にすぎないという可能性⇦若年のギャンブラー、特定のギャンブルを好む人々治療を受けないギャンブラー、など…

○習慣的なギャンブラーがギャンブル中に覚醒状態になることを示す実証的なエビデンスはかなり多い⇦心拍測定、自己報告、質問紙によって測定

○ギャンブル問題で治療プログラムを受けているものの93%が少なくとも一つ以上のパーソナリティ障害の診断基準を満たす

○非合理的で否定的な思考
・ギャンブラーはギャンブルに関する様々な誤った信念を持ち続けており、莫大で継続的な損失をしているにも関わらず、ギャンブル行動を続けてしまう原因の一つ
・コントロール可能性の錯覚:これが生じやすくなるギャンブル状況だとギャンブル行動を継続しやすい⇦アルコール、ストレス抑うつなどの対処の難しい感情との関連

○ネガティヴな心理状態
・不安、抑うつ、ストレスのようなネガティヴな心理状態は、しばしばギャンブル行動の開始と継続、ギャンブル問題の重症度、ギャンブル問題のリラプスと関連
・自殺企図は非常に多い
・物質使用問題、気分障害、不安障害、パーソナリティ障害、ADHDなどと関連

○生物学・生化学要因
前頭葉の欠陥、化学的な不均衡、神経伝達物質システムの機能不全、生理学的覚醒といったいくつかの生化学的・生物学的要因が、問題ギャンブルと関連している
ドーパミンに関するエビデンス:遺伝的、環境的要因によって、脳内の報酬系におけるドーパミンの量が少ないが不十分である人々は、不安が高く、渇望的で、健康的ではない傾向⇦こうした感情を置き換えるために、ギャンブラーはこうした欠乏を直ちに打ち消してくれるような行動を行う

社会学的要因
・ある特定の集団には他の集団と比較してより高い割合でギャンブラーが存在する:無職、社会経済的地位の低い人々、学歴の低い人々…
・学校との繋がり、家族との繋がりが薄いことが、問題ギャンブルと関連
・ギャンブル行動への敷居の低さとアクセスのよさが問題ギャンブルの有病率の高さと関連している
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とりあえずここまで。
勉強すべきこと、したいことが多すぎる、というのは大変なことであり、しかし幸せなことでもありますね。